コンテンツへスキップ

【開催レポート】公開講座&フィールドスタディ説明会を実施しました!

2024年8月25日(日)13:30-16:30@県立長野図書館・zoom(ハイブリット開催)で、公開講座を実施しました。

今年度のまちむら寄り添いファシリテーター養成講座では、身近な人々の声に耳を傾けながら、未来につながるアクションを守り立てる「まちむら寄り添いファシリテーター」の魅力と可能性を、モデル地域に入って学び、その知恵を持ち帰ることを目指す、実践型フィールドスタディを開催します。

今回の公開講座では、フィールドスタディのメイン活動である「インタビュー(聴くこと)」と地域づくりに関する講義とともに、フィールドスタディ説明会として、今回の4フィールドで活躍する活動者からフィールド・活動の紹介を行いました。

《開催概要》
開催日:2024年8月25日(日)13:30-16:30
参加人数:会場19名、オンライン50名
講師・アドバイザー:広石拓司((株)エンパブリック代表)
           船木成記((一社)つながりのデザイン代表理事・元長野県参与)
          新雄太(東京大学大学院工学系研究科特任助教)
事務局:長野県企画振興部地域振興課、(株)エンパブリック


導入「地域のファシリテーターとは?」

講座の初めには、会場のアイスブレイクを兼ねて、「今の気持ちは?」「”ファシリテーター”から連想する一言は?」「今日期待することは?」という3つの質問で会場アンケートを行いました。
特に、ファシリテーションという言葉に興味を持って、この講座に参加された方々からは、つぎのような意見が出てきました。
*皆さんの意見は、下記画像を参照。投稿された数が多い言葉は、まとまって大きな文字になっています。

さらに、講座に期待することは?という問いに対しては、
・地域の語り合いを意味あるものにしたい
・地域自身が地域づくりを継続して行う仕組みのポイント
・自分自身もファシリテート力を培いたい、そして自分の地域にファシリテーターを増やしていきたい

といったような意見が見られ、地域づくりのなかでファシリテーションの必要性を感じている方が多いようでした。

 事務局によるまちむら寄り添いファシリテーターの紹介

また、ここで講座運営事務局の渡邉さや(株式会社エンパブリック)から、これまで講座から輩出したファシリテーターのみなさんが、それぞれの立場や分野の中で地域のどんな役割を担っているのか?を、地域づくりのアジェンダでもある重要な6つのテーマに沿って紹介しました。
①地域への関わり方を見直し、より良い関係性を作る
②地域や人の思いを深く理解し、ネットワークを作る
③立場・分野を超えてつながり、新しい解決策を作る
④地域の内と外をつなぎ、地域に愛着ある人を増やす
⑤地域にあるものを見直し、新しい価値をデザインする
⑥持続可能な地域運営を担える人を増やしていく



講師によるミニ講義
”聴く”から未来への対話が始まる!ローカルファシリテーションの魅力

ファシリテーターの基本姿勢である”聴く”ことについて、「聴いて終わり」にせず、次の地域づくりに向けてどの
うな対話に促していくのか?その地域に必要なプロセス全体をどのようにファシリテートするのか?
住民の声を反映させた地域づくりの方法や考え方について、連続講座講師から伝えました。

 広石 拓司さん(株式会社エンパブリック)

 広石先生からは、最近聞かれるようになってきた「ファシリテーター」という言葉について、本講座で掲げている「まちむら寄り添いファシリテーター」が地域でどのような役割を担っているのかをお話しいただきました。

ファシリテーターというと、つい会議をうまく進行する人というようなイメージを持ってしまいますが、ワークショップや会議に参加するまでのコミュニケーションやそのプロセスをどう寄り添いながら作っていくか?ということが、「地域におけるファシリテーター」の役割であり、そんなファシリテーターにとって一番重要なことが「聴くこと」です。
地域住民・地域の活動者など様々な立場の人の声を丁寧に聴き、その人の思いや背景にある文脈を理解したうえで、その人たちが一歩踏み出すための対話と学びの場づくりを作っていくことが、地域の主体性を引き出すことにもつながっていきます。

誰しもが大切だと思いつつも、なかなか自信をもって実践できているとは言えない「聴くこと」について、より良い地域づくりのための必須スキルなのだと、あらためて実感しました。
 

 船木 成記さん((一社)つながりのデザイン代表理事)

 船木先生からは、今年度の骨太の方針や環境基本計画を例に国や地域の動向を踏まえながら、協働しながら地域づくりを進めていくにあたっては、「中間支援」という役割が重要視されていることを伝えていただきました。

 そして、地域づくりの「中間支援」では、様々な背景・考え方を持った幅広い関係者との出会いの場づくり、資源連結、全体のプロセスデザイン(対話など)、上位目標や共通課題の発見と設定、問題解決策の発見・策定、そのための学びあい、さらには地域全体の変化を生み出すために場を開き続けることなど、様々な役割が求められています。

 組織や会社のように目的を共有しているものではない「地域だからこその難しさ」もありますが、だからこそ、まちむら寄り添いファシリテーターの重要性・必要性がともに高まっていることが分かりました。
                                                                 

 新 雄太さん(東京大学大学院工学系研究科特任助教)

 新先生からは、現在も先生自身が各地で実践している「聞き書き」や「フィールドワーク」について共有いただきながら、地域に寄り添い、地域を理解するためのポイントについて解説いただきました。

 先生が関わっている小布施町、大町、善光寺門前エリア、北アルプス周辺などでの調査・プロジェクトの中でも、「誰のために、私たちは地域づくりをしているのか?」という問いは常に意識しており、そしてそれは他でもない目の前の”人”であるということであると考えています。そして、目の前の人を理解することなくして、地域づくりは在り得ないということから、聞き書きや地域のことを理解するフィールドワークを必須にしています。
五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)を使った地域理解が「フィールドワーク」であり、その中でも特に、目には見えない見えない地域の物語、言葉、構造などを理解するための営みが「聞き書き」にあたります。
それ以外にも、文献、地図、グラフ、町のプランなど、様々な角度から地域への理解を深めていくことが大切です。

聞き書きやフィールドワークなど、ともすると文化人類学や社会学などの研究で行うものといったイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実は地域づくりのためには、まず地域を、地域に暮らす人を深く理解することからでないと始まらない、という腹落ちができました。

聞き書き体験ワークショップ
「地域の人の経験・思いの聴き方を学ぼう

次に、語り手の話す言葉を尊重するインタビュー手法の一種である「聞き書き」について、その考え方や手法を学んだ上で、参加者同士でインタビューを実践するワークショップを行いました。

 先生による導入講義
 ワークを終えてみての感想

聞き書きを終えた後は、「聴き手」「話し手」それぞれに分かれてふりかえりを行ったあと、全体共有として参加者の皆さんからの感想を伺いました。
*参加者からの感想
 ・自分に興味を持って聞いてくれると思うと、つい話してしまった!
 ・聴き手の人に自分の過去を一緒に見てもらっている感覚が不思議だった。
 ・表情(笑顔)が大事だと思った。

フィールドワーク説明会

今年度フィールドワークを実施する4地域(上田・木曽・佐久穂・駒ヶ根)について、フィールドで活躍するコーディネーター4名からフィールドワークについての紹介を行います。

≪フィールド1≫
地域の未来づくりを住人が主体的に始めるプロセスを
「上田リバース会議」から学ぼう(上田市)

上田市フィールドからは、フィールドコーディネーターの藤川まゆみさん(上田市民エネルギー代表)から、
上田市で取り組んでいる「上田リバース会議」の紹介をいただきながら、「このような話し合いの型を地域に増やしていきたいと考えている人にぜひ来てほしい!」という思いをお話しいただきました。

また、フィールドスタディを伴走するラーニングファシリテーターの広石拓司先生からは、
藤川さん自身の実践に加えて、リバース会議に関わっている様々な人の立場の目線や、そこでどういったコミュニケーションが行われ、変化が起きたのかを知ることで、地域の中で住民が協働するためのポイントが見えてくるといったコメントもありました。

フィールド紹介動画はこちらからご覧ください!

≪フィールド2≫
住民と建物が共に生きることがつくる豊かさを、
旧黒川小学校と地域のつながりから学ぼう(木曽町)

木曽町フィールドからは、フィールドコーディネーターの竹脇恵美さん(ふるさと体験館 木曽おもちゃ美術館)から、
住民の思い出でもあった旧黒川小学校をどのように地域に根付く施設として残してきたのか、そしておもちゃ美術館に込めた思い、なぜ木曽の文化を体験できる場所として活用しているのか?などを、事例を交えながらをお話しいただきました。

また、フィールドスタディを伴走するラーニングファシリテーターの新雄太先生からは、地域の建物というのはただの機能ではなく、そこに人が集い思い出として残されていったり、その場所自体が地域の文化を引き継いでいく役割を担っているなど、地域の社会資本として非常に重要なものであり、そのような視点から地域の施設・建物の在り方を考えたいといったコメントがありました。

フィールド紹介動画はこちらからご覧ください!

≪フィールド3≫
地域の文化や思いを分かち合うために大切なことを、
丁寧に聴くことを通して地域とつながる活動から学ぼう(佐久穂町)

佐久穂町フィールドからは、フィールドコーディネーターの副島優輔さん(佐久穂町地域プロジェクトマネージャー)から、
佐久穂の住民の声を残していく聞き書き事業を始めた経緯や、その中で生まれた地域の変化・地域づくりにとっての聞き書きの意味などを、実際の成果物を見せながらお話しいただきました。

また、フィールドスタディを伴走するラーニングファシリテーターの船木成記先生からは、縁もゆかりもない佐久穂町に移住してきた副島さんが、地域の中で人々との出会いを通して地域に愛着が芽生え、その中で「聞き書き」の事業を始めていったという、副島さん自身の変化がどのようにしておきたのか、そして、そのような変化は地域にとってどのような意味があるのか?という視点で、追体験していくことで見えてくるものがあるのではないかとお話しいただきました。

フィールド紹介動画はこちらからご覧ください!

≪フィールド4≫
子どもと大人の良い関係を作るファシリテーションを
子どもを真ん中に大人が集う活動から学ぼう(駒ヶ根市)

駒ヶ根市フィールドからは、フィールドコーディネーターの北澤孝代さん(親と子学び育ちの会まねきneko)から、
コロナ後にはじめた子ども食堂をはじめ、子どもたちが地域の中でイキイキとできる場づくりの事例や、その中で北澤さんが考えてきたファシリテーション、関係づくりのポイントについてお話しいただきました。

また、フィールドスタディを伴走するラーニングファシリテーターの渡邉さや(事務局)からは、ファシリテーターという立場は、責任感や思いの強さからつい自分で背負い込みすぎてしまったりする場合も多く、北澤さんもそのようなことで悩まれた時期もあったが、逆に周りの力を活かす「頼るファシリテーション」がポイントなのではとコメントしました。

フィールド紹介動画はこちらからご覧ください!

参加者の声
(アンケートより)

・ファシリテーターは主役にならなくてもよいこと、あくまで地域を作るのは住民自身であり、一緒に悩むことが重要であることを感じました。
・まずは地域に住まう方々と同じ土俵に立ち、人々の思いを知ることをが第一であると学びました。
・考えの違う相手であっても、自己主張は後にして、まずは聴く姿勢を見せてたくさん話を伺う。これをすっかり忘れていたと気づかされました。
・周りの協力を得るには、自己主張ではなく、協調の包容力が大切だと感じた。

事務局より

9月から始まるフィールドスタディの参加登録は、【9/16(月)】が締め切りとなります。
普段なかなか見たり、聴いたりすることのできない場づくりの裏側や、その場づくりのプロセスにあった人々とのコミュニケーション、その中で生まれた変化などをちゃんと聞くことを通して、自分自身の現場の場づくりを推進する力を高めていただけたらと思います。

フィールドスタディにご興味のある方は、下記から詳細・注意事項等をご確認ください。
まちむら寄り添いファシリテーター・フィールドスタディ2024