まちむら寄り添いファシリテーター ・フィールドスタディ@木曽
住民と建物が共に生きることがつくる豊かさを、旧黒川小学校と地域のつながりから学ぼう
「建物」は、役場、公民館、学校などの機能を担うために建てられますが、地域に住む人にとっては思い出の風景であり、誰かとの思い出が残る場所という意味もあります。例えば、学校が廃校になった時に、住民の思いを無視して建物を壊す、全く別の用途に使うことは地域の文化を消すことにつながるかもしれません。逆に、新しい建物は地域にどう根付いていけるかによって、住民にとっての価値も変わっていくでしょう。「建物は住民と共に生きている」という視点から建物と住民のつながりを見直すことによって、土地の文化を活かす地域づくり、建物を組み込んだコミュニティデザインを考えませんか?
旧黒川小学校・
ふるさと体験木曽おもちゃ美術館
2022年に開場した木曽おもちゃ美術館は、木曽の伝統文化にふれる「ふるさと体験」と「木のおもちゃの魅力発信」の場として多くの方が訪れています。この施設の魅力を高めているのが、旧黒川小学校の築90年以上になる木造建築の校舎です。美術館の「たいけんのやかた」では、歴史あふれる旧校舎の趣をそのまま活かし、地域に語り継がれるさまざまな「ふるさと体験」と、地域文化を後世に伝える民具や玩具を鑑賞できるようになっています。
実は、この旧黒川小学校の建物は、建設時に地元の人たちが木材を提供し、建設に協力して出来た木造校舎は、1997年に閉校後、2002年にリノベーションされ体験交流施設として活用されてきました。
地域にとって「学校」は、教育施設であるだけでなく、住民の思い出の共有やコミュニティ形成の拠点としての意味もあります。人口減少の中で教育施設として閉校したとしても、その建物は地域コミュニティにとっての意味も踏まえて存続や活用を議論することが大切でしょう。
旧黒川小学校は地域の人の思いが詰まっているものとして大切にされてきたからこそ、閉校後もコミュニティ施設となり、ふるさとを伝える施設として活用されています。この旧校舎はただの建造物ではなく、まちの人と共に生きている存在と言えるかもしれません。
旧黒川小学校の建物は地域にとってどのような存在なのか、建物にどのような思いを持ってきたのか、そして木曽おもちゃ美術館として活用されていること、これからの未来をどう考えているのか。このまちで「建物と住民のこれまで、今、これから」を理解することは、廃校の利活用はもちろん、空き家や使われていない建築物の活用を考えている方にも、また新しく地域に建築物を建て、運営する方にとっても、建物と地域のつながりを考える多くのヒントを得られることでしょう。
【参考】
・ふるさと体験木曽おもちゃ美術館 ホームページ
(館内案内→「たいけんのやかた」)
・「体験棟 木造校舎の魅力を探る」に校舎の写真が掲載(外部サイト「里の物語」より)
・旧黒川小学校築造90周年企画(2018年 木曽町役場ホームページ)
フィールドスタディの学びをナビゲート、伴走するコーディネーターを紹介します。(プロフィールは下段に掲載)
フィールドコーディネーター(FC)
竹脇恵美さん
ふるさと体験木曽おもちゃ美術館の館長となり、旧校舎と地域の深いつながりを改めて実感しています。地域の方の思いを私ももっと知りたいと思っています。
ラーニングファシリテーター(LF)
新 雄太
今の研究テーマの一つが「建物が地域の社会関係資本に与える影響」である私にとっても、この旧校舎と住民のつながりはとても興味深いものです。共に学びましょう!
1)ふるさと体験 木曽おもちゃ美術館を知ろう
美術館の館内を見学した上で、設立趣旨、運営の考え方、地域とのつながりなどについて館長の竹脇さんからお話を伺います。その上で運営スタッフ、町内外から多数参加しているボランティアの方にもお話を伺い、美術館について立体的に理解を深めていきます。
2)旧黒川小学校や美術館への住民の方の思いを聞き書きしよう
住民の方、町役場の方などに旧黒川小学校をめぐるエピソード、語り継がれてきたこと、ふるさと交流の場として感じること、美術館に期待することなどを聞き書きしていきます。どんな人に、どのようなことを聴くか、グループで考えながら行います。そして、聞き書きを基に、建物と住民の関係についての考察を行います。
3)木曽からの学びを木曽のみなさんにお返ししよう
外部の視点から取り組みを理解し、自分達の地域に持ち帰りたいことを考えた上で、フィールドでの学び・気づきを、お話を伺った方を始めとする木曽のみなさんにお伝えします。
4)木曽での学びを自分の地域にも伝えよう
廃校、空き家、新しい建物と住民はどうつながっていくことが豊かさにつながっていくのか。そのためにどのような活動を行っていきたいか。木曽での学びを自分の地域の人と分かち合い、活かす方法を考え、自分の地域の方で伝える会を行います。
- 廃校、空き家などを活かしたまちづくりを進めていきたい人
- 公民館、市民センター、図書館などを活かした地域づくり、コミュニティデザインに取り組みたい人
- 地域の文化、多様な資本を活かすことで、その地域らしい持続可能な未来を描き、実践していきたい人
*地域の活動仲間と一緒に参加いただくのもお勧めです!
2024年9月~2025年2月
長野県木曽町
24年8月時点。活動状況により変更になる場合があります
8/25(日) 13:00 公開講座にて、フィールドスタディの説明
9/18(水)19:30 フィールドスタディ全体キックオフ会
オンライン開催 4フィールド全体で集まります。
9/29(日)10:30~16:30 @木曽町 木曽町・新開地区と木曽おもちゃ美術館を知る
チーム・ビルディング、木曽(町中と旧校舎近隣地区)のまちあるきをした上で、木曽おもちゃ美術館の館内を見学し、館長の竹脇さんからお話を伺います。また、運営者、ボランティアの方からも話を聴きます。
10月~11月 旧黒川小学校の近隣住民・関係者の聞き書き
旧校舎近隣地区を中心に聞き書きを行います。また、町役場、学校卒業生などグループで工夫して聞き書きを展開します。その上で、旧校舎と住民とのつながり、その意味をチームで分析します。
12月 木曽での学びをお返しする会の実施
木曽で学んだことを木曽の地域のみなさんにお返しする会を開催します。
1/18(土)10:30~16:30(対面開催)全体中間ふりかえり会
4つのフィールドでの経験を持ち寄り、学びを共有します。また、自分の地域に伝えることを考えます。
1~2月 自分の地域での「学びを分かち合う会」の準備
自分の地域で学びを誰と分かち合いたいか、どう伝えるか考え、準備をします。
3/1(土) 午後 各地域での「学びを分かち合う会」開催
各地域でフィールドスタディの「学びを分かち合う会」を開催。それを全県でつなぎ、気づきの全体での共有も行います。
*基本的には全日程の参加を想定していますが、事前に決まっている日程に既に予定が入っていて日時が難しい場合などは事務局までご相談ください。
*参加いただく方の活動時間として、9月~2月の期間、1か月あたり2~3回8時間程度の活動・打合せ・講座参加・作業などを想定しています。
参加方法
必ず公開講座(8/25開催)への参加(もしくはアーカイブ動画の視聴)後、「参加にあたっての確認事項」をご確認いただいた上で「フィールドスタディ参加登録フォーム」からお申込みください。
プログラム参加費:無料
締切: 24年9月16日(月)
参加にあたっての確認事項
上記を確認した上で、下記のボタンから参加登録フォームにて参加登録をお願いします。
フィールド・コーディネーター(FC)
竹脇恵美 ふるさと体験 木曽おもちゃ美術館館長
神奈川県横浜市出身。昭和62年御嶽山の麓、旧開田村(現木曽町開田高原)に夫婦で移住。様々なボランティア活動をしつつ地元の社会福祉協議会を経て平成30年よりシニア活動推進コーディネーターとして木曽郡内のシニアの活動を推進。令和4年9月より木曽町に開館した「ふるさと体験木曽おもちゃ美術館」の館長を兼任。令和5年4月より美術館の専任へ
ラーニング・コーディネーター(LC)
新雄太 東京大学大学院工学系研究科特任助教
建築設計・意匠、地域運営、空き家活用まちづくり等を専門領域としながら、長野県各地の様々な地域づくり事例に精通し、信州大学在職時には地域課題解決人材育成講座「地域戦略プロフェッショナル・ゼミ」に中心的な存在として携わる。多様な主体が関わるワークショップの開催経験も豊富。
【お問合せ先】
主催:長野県 企画振興部 地域振興課(担当:帯刀)
TEL:026-235-7021 Mail:katsuryoku@pref.nagano.lg.jp
運営事務局:株式会社エンパブリック(担当:渡邉)
TEL:03-6303-3195 Mail:nagano-mm@empublic.jp
*講座、プログラムに関するお問い合せは、お問い合わせフォームよりご連絡ください。