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【開催レポート】公開講座「地域と共に活動するファシリテーターが大切にしたいことは?」

2024年2月18日(日)14:00-16:00@長野県立図書館・zoom(ハイブリット開催)で、まちむら対話と共創チャレンジ2023 公開講座&活動共有会「地域と共に活動するファシリテーターが大切にしたいことは?」を開催しました。

当日の様子

当日の様子2

《開催概要》
開催日 2024年2月18日(日)14:00-16:00
参加者: 受講生12名、一般申込39名
講師・アドバイザー:広石拓司((株)エンパブリック代表)
          船木成記((一社)つながりのデザイン代表理事・元長野県参与)
          新雄太(東京大学大学院工学系研究科特任助教)
事務局:長野県企画振興部地域振興課、(株)エンパブリック

成果報告会の概要

今回は、10月から始まった実践プログラムの活動共有会を兼ねた公開講座として、実践を終えた各チームの発表や、そこから見えてきたことを踏まえて、改めて「地域とともに活動するファシリテーターが大切にしたいことは?」をテーマに講師を含めた意見交換を行いました。

まちむら対話と共創チャレンジとは?(当日講義資料より)

チームの活動発表

チーム活動発表では、全3チームの活動・そこから学べたことが紹介され、講師からもこれらの活動からどのようなことが「学び」として得られるのかという視点でコメントがありました。

各チームの詳しい課題意識・活動は、「地域での対話と共創を活性化するために「探究したい問い」の紹介」からもご覧いただけます!

木(一人ひとりの思い・幸せ)も見て
森(まちの課題・幸せ)も見るには、
どうしたらいいだろう?

*テーマの背景(「探求したい問い」の紹介より
地域での対話やまちづくりワークショップへの参加者が少ないと、「地域の人は、まちづくりに関心がないんじゃないか」と考えてしまいがちです。
ただ、個別に話を聴くと色々な思いや考えを話してくれる人も多くいます。
まちづくり活動では一人ひとりに向き合うことが大切ですが、ただ個別に話を聴き、それぞれのニーズ全てに個別対応することは難しいですし、個別対応するだけでは解決できない地域課題もあります。

個人、当事者の声」と「地域づくりの視点」の両方に配慮し、どちらの良いところも活かした活動を進めるにはどうしたらいいんでしょうか?

ファシリテーターの悩み(地域の場づくりでよく起きること)
・対話の場を創るとき、みんな「参加者を集めるのが難しい」という壁によくぶつかっている。
・これからの地域に必要なこと、困りごとに寄り添ったテーマを設定して、チラシやSNSを使って広報している
 のに、参加者は思ったように人が集まらない。集まるのは、いつも同じ顔ぶれ。

■ 悩みの背景にある課題(仮説)
・まちづくりにおいて「参加者が集まらないこと=自治に対して無関心な住民が多い」と思ってしまいがち。

■ ファシリテーターが大切にしたいこと(視点の転換)
・一方で、住民は全てに無関心なのではなく、個々がまちや生活について何らかの思いを持っている。
・人々は無関心なのではなく、場の主催者が使う言葉やイメージが伝わっていないのではないか?
・また、主催者が使う言葉・伝えたいことを参加者がどのように解釈しているのかの確認をすることがないから、
 共感できる言葉や見せ方をイメージできていないのでは?
 →自分の思いを地域の人に伝わる言葉にチューニングする「日本語の調整」が必要なのでは?

実践したいこと(チームでの探求活動)
・チームメンバーそれぞれのテーマで「対話の場」のチラシを作成し、各地域の人々にチラシの印象や感想・
 イメージについてヒアリングを行った。
  * チラシの枚数:23枚
  * 作ったメンバー:7名(地域活動者、行政職員、地域おこし協力隊)
  * ヒアリング:50名以上(男女世代はバラバラ、20~80代

・「自分が思ったものとは違うことが伝わっていた」「自分がやりたいこととポスターで表現してることに
 ギャップがあった」という気づきを得た人が多かった。

地域で活動するファシリテーターが大切にしたいことは?(気づいたこと)
・自分が伝えたいことを伝えるのではなく、「参加者に寄り添う、聴く姿勢が見える」ことが大切。
・フィードバックを受けることが、共感度を知るための地道な手法である。
 つい、渾身の一撃という感じでチラシを作ってしまいがちだが、実際にどうだったのか検証することが必要
「伝わっていないことを知る」ことが一番大切なことである。
・参加者もファシリテーター自身もまちの中のひとつの「木(そこにいる人)」であり、
 ファシリテーターだからとはいえ、「森(まち全体のこと)」は見えていない。
・今後必要なのは、ファシリテーターが勝手に課題を決めて話すのではなく、何が課題なのか?から地域の人々
 と一緒に考えていく姿勢であることに気づいた。
 

対話やワークショップへの参加に感じるハードルとは?
~「居酒屋以上ワークショップ未満」の間には何がある?


日常で感じる思いや課題を飲み会などで愚痴やボヤを話すだけでは十分ではないと思いながら、対話やワークショップに参加するまでには至らない「居酒屋以上ワークショップ未満」の場について考えることを通して、対話やワークショップへの参加に感じるハードルについて探求したい。

ファシリテーターの悩み(地域の場づくりでよく起きること)
・「気楽にきてくだい」と言ってもワークショップには人が集まりにくい。しかし、居酒屋のような場所では雑談をとおして人は盛んにコミュニケーションをとっている。
・居酒屋のコミュニケーションをワークショップにつなげる場のデザインができないだろうか

■ 悩みの背景にある課題(仮説)
・ただ「ワークショップが良い」「居酒屋が良い」ということではなく、それぞれのイメージや場の要素を分析
 し、その役割や効果を踏まえて場をつくることが必要になる。(またその2つの間にある新しい場をつくる)

■ ファシリテーターが大切にしたいこと(視点の転換)
・それぞれの場に対して、参加者目線でのイメージを想像してみた。
・また、ワークショップと居酒屋の間にあるものとして「ソーシャルバー」が浮かび上がってきた。

実践したいこと(チームでの探求活動)
・話し合ってみた結果を踏まえて、2月末にチームでソーシャルバーを運営してみることになった。


地域で活動するファシリテーターが大切にしたいことは?(気づいたこと)
・環境を整える:「雑談」が生まれる場所にする。
          → 場所の雰囲気にもこだわる。
・ 明確なルール:言語外のルール(ファシリテーターへの忖度)を作らない。

          → 参加者が納得できる明確なルールがあることで、参加者がのびのびできる
・テーマの提供:完全な雑談は、話題が固定化したり、排他的になってしまう可能性がある。

          → 定期的にいろんな人が話せるテーマを提供する。
・店長という立場:ファシリテーターではなく、お客さん同士を繋ぐ役割としての「店長」になる。

          → ホワイトボードを背に難しい顔をしている必要はあるのか?
          → ファシリテーターも参加者になる。
・飲食のバランス:食べ物・飲み物には力を入れなくていい。

          → 話のきっかけや話のタネになる程度に「食べる」という体験を入れる。

その他にも「推し・趣味をネタにする」「ニックネーム・敬語にする(コミュニティ感の排他性を出さない)」「ドレスコード・合言葉」など、様々な工夫を取り入れながら、場の変化・効果を検証してみたい。
 

ファシリテーターに必要な自己理解とは?
ファシリテーターは「承認と共感」を関わる人にどう届けるか?

*テーマの背景(「探求したい問い」の紹介より
地域の人に寄り添うファシリテーターには、地域の人の思いや気持ちを大切にするだけでなく、自分自身の気持ちや思いにも向き合い、しっかり受けとめることも大切ではないでしょうか。それが相手への理解や共感を深めることにもつながるでしょう。

地域で寄り添う対話を進めるには、ファシリテーターが自分自身の考えや思い、感情にどのように向き合っていけばいいのか。ファシリテーターに必要な自己理解とは?について探究していきます。

ファシリテーターの悩み(地域の場づくりでよく起きること)
・「活発に意見やアイデアが出てこない」「一部の人の意見に流されてしまう」「ありきたりなアイデアしか
 出ない」「アイデアを出す人はいつも同じ人」など、場に対してのもやもやがある。
・「論点がずれたり、時間が延長したりする」「意見のとりまとめや合意形成ができない」「ゴールに誘導してい
 るのではないか?」など、ファシリテーター自身の動き方やあり方に対するもやもやがある。

■ 悩みの背景にある課題(仮説)
・「場がうまくいかない」とファシリテーターが感じている時に、参加者のせいにしてしまいがちだが、
  実はファシリテーター自身の考え方や認識が場に影響しているのかもしれない。

■ ファシリテーターが大切にしたいこと(視点の転換)
・自分の場をふりかえることがないが故に、どの場面で何をどう認識しどう判断してどんな結果になったのかの
 検証ができないまま、同じことの繰り返しになってしまっているのではないだろうか。
 ファシリテーター自身が、場づくりをするにあたって自分自身の気持ちや考え方を整理・チェック
 できるシートがあると良い。

実践したいこと(チームでの探求活動)
1.メンバーが行った実際ファシリテーションを行っている現場を見学した。
  地域での話し合いの様子を参加者視点・ファシリテーター視点で見学し、ファシリテーターの動き・発言
  で気になったことをメモしておく。
2.現場のファシリテーションについて、ふりかえりを行った。
  「なぜここで声がけをしたのか?」「どんな目的があったのか?」など、ファシリテーター・参加者視点で
   気になったことを聞きながらふりかえりを行った結果、場づくりを行う際に大切にしたい項目が見えてきた。
3.場づくりを行う上で、ファシリテーターがつまづきやすいポイントを探るために、
  メンバーそれぞれが場づくりで「もやもや・うまくいかなかったエピソード」を共有した

  ①出来事 ②なぜその出来事が問題だと思ったか ③理想の状態 ④どんな介入ができる?
  の4つの項目で、それぞれ自分の経験を棚卸しした。
4.悩みについて意見交換しながら、ファシリテーターが場を作る際に意識するべき項目が見えてきた。
  ①事前準備 ②当日(&マインドチューニング) ③終了後 に分けられることが見えてきた。

地域で活動するファシリテーターが大切にしたいことは?(気づいたこと)
自己理解ができると、他者理解(参加者に寄り添うこと)ができる。
・ファシリテーターには、「議事進行スキル」「コミュケーションスキル」「論理的思考力」「目的意識と時間
 管理のスキル」など、いろんなスキルが必要になってくる。
 これらを漠然と行うのではなく、この一つひとつを意識することが大切になることがわかった。
・一人ひとりが得意なポイント・苦手なポイント、作りたい場に向けて必要なポイントなど、
 ファシリテーターそれぞれが自分のためのチェックシートを作って場に挑めるようになると良いのでは。

↑チームメンバーから出てきたファシリテーターのチェック項目リスト



意見交換「地域のファシリテーターが大切にしたいことは?」

チームの活動発表を踏まえて、意見交換ということで3名の連続講座担当講師から「地域のファシリテーターが大切にしたいことは?」という視点でコメントをいただきました。

広石 拓司さん((株)エンパブリック)

今、エンパブリックでは、まちの人が自分の関心からまちに関わり、それを広げていった結果として、まち全体のことが見えてくる人「アーバニスト」を広げる取り組みを行っている。

その活動を一緒に行っている中島直人先生(東京大学准教授)も、「アーバニストは、まちや人に対して謙虚になることが大事」とよく言っている。

まちむら寄り添いファシリテーターといっても、自分はまちの一員でしかない。「ファシリテーター」は別の立場なのではなくて、コミュニティの中の一人と自覚することが大事であり、それこそが寄り添いではないか。

「ファシリテーターは中立だから、意見を持ってはいけないのか?」と聞かれることもあるが、大切なのは、地域の一員としての考えはありつつ、色々な意見に対してオープンであるということである。

船木成記さん((一社)つながりのデザイン,元長野県参与)

私は、民主主義をつくるための行いだと思っている。
民主主義は「敵とともに生きる」とも言われるが、地域もワークショップの場も含め、利害関係がある中で、意見を聞かないといけない。
明日を共に創るのは簡単にいかないが、その中でもどうにか他者理解をしていきながら、一緒に考えていくことを行っていくのがファシリテーションであると思う。

「ファシリテーション=状態をよりよくしていくこと」である。
地域社会の中で、あそこに行けたらいいよねというところに辿り着くために何をするか・どんな振る舞いをするのか?この地域のメンバーシップの中で考えていくことが大切ではないか。

型とかスキルとかにこだわることなく、自分なりのファシリテーションを見つけてもらって、それが集まることで中山間地域の信州らしいファシリテーションのあり方が見えてくると思う。

新雄太さん(東京大学大学院工学系研究科特任助教)
地域は二項対立ではなくて、境界がグラデーショナルなものであり、それを俯瞰的に自分を見てみるというのが大事。
それがどのチームもできたのではないかと思う。

逆に、地域側の方に伝えたいのは、チェンジメーカーの人たちをしっかり大切にしてもらいたい
いろんなことに気遣ってやりながら、自分達の生活、本業は別にあるので、頼りっぱなしではなくて、逆に寄り添ってもらえたらいいな、と思う。

歴史や資源、人などがあり、自分たちで創っていく時代になってきている。地域を自分たちで組み替えて行っていいということを信じて、共に探求をしながら、各地域が昨日より明日へより良くなればと思う。

実践プログラムの受講生より

公開講座の後の時間には、受講生一人ひとりから講座に参加してみての感想を共有しました。

・「言葉をちゃんと使う」「相手のことを考えて言葉を選ぶ」ということが改めて大事だと感じた。
 「日本語を調整していく」という言葉が印象的だった。そうやって言葉の一つひとつに目を向けて、
 耳を傾けていくことが「寄り添う」
ということだと感じた。
・地域おこし協力隊に参加してすぐに参加した。最初は全然わからないことも多かったが、皆さんの経験を
 聞きながら、自分の地域の人に対して真剣に向き合うきっかけになったと思った
・ファシリテーターってまとめ役・どこかの方向性に持っていかなきゃいけない役ということをイメージしていた
 けれど、「私たち自身が参加者である」ということが大切だという考え方になれたのがよかった

事務局より

 

9月から始まったまちむら対話と共創チャレンジ2023も、最終回を迎えました。

最初は、みなさんが地域の中でお悩みになっていることから抽出されてきた、大きな「正解のない問い」に対してどのように考えていけばよいか戸惑う様子も見られましたが、各チームで時間を作り、平日夜・休日も何度も話し合いを重ねながら探求活動を行ってきました。 その結果として、単なる場づくりの手法やポイントということ以上の地域に寄り添うファシリテーターのあり方について、学びを得ることができました。 また、改めてこのような答えのない問題に向き合うファシリテーターのあり方・振る舞い方について、さらに地域で活動されるみなさんと一緒に考えていきたいと思います!