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【開催レポート】作戦会議(実践ふりかえり)②を実施しました!

2024年1月13日(土)10:00-12:30@zoomにて、作戦会議(実践ふりかえり)を開催しました。 

実践ふりかえりでは、10月に開始した現地ワークショップからはじまった3つの問いのグループでの話し合いを踏まえて、改めて各チームの課題設定が明確にしていきました。今回は、議論が深まっただけでなく、グループ間での共通点も見えてきた時間となりました。

《開催概要》
開催日:2023年1月13日(土)10:00-12:30
参加者:12名
講師:3名
広石拓司 氏(株式会社エンパブリック)
新  雄太 氏(東京大学大学院工学系研究科特任助教)
船木 成記 氏(元長野県参与・一般社団法人つながりのデザイン代表理事)  
事務局:長野県地域振興課、(株)エンパブリック

チームの進捗共有

前回からの約1ヶ月の間にどのような話し合いを行ったのか、それを踏まえ、これから長野県で「対話と共創」を広げていくためにどのような課題にアプローチしたいと思ったのか等について、3つの問いのチームから共有がありました。
また、チームの発表を受けて他の受講生や講師からもコメントしながら意見交換を行いました。

チーム①「木(一人ひとりの思い・幸せ)も見て森(まちの課題・幸せ)も見るには、どうしたらいいだろう?」

*この期間に取り組んだこと
・1月8日にオンラインミーティングをした。
・地域でファシリテーターをするときに、使う言葉の意味合いを合わせるというのはとても大事なのではないか、となった。では参加しようとする人というのは、どういう言葉が響くのかということを考えてみようとなった。
・各自でアウトプットとしてチラシを作り、実際に顔のみえるところで見せて、反応を見てみようと考えている。テーマは「地域の人と〇〇について対話する場」として、〇〇に何を入れるかは自由に話したいテーマを入れて良い。そうして各メンバーに作成してもらった。

*気づいたこと、見えてきた課題
・そのアウトプット(チラシ)をお互いに見せ合った後、それら全ての作品を自分の周りの人に見せてインタビューした。自分の意図と受け取り側に感覚というのは同じだったのか、違うとしたらどう違うのか、そのチラシに反応する世代にも違いが出てくるのかなども考えてみようという話になった。

*2月に向けて取り組もうと考えていること
・話がとても広くなってしまって、迷路にハマっている。寄り添うという流れの中の一つの通過点やきっかけとして自分たちが取り組んでいるということは確認できた。前後の関係性が大事で、チラシだけで終わるものではないというそこも承知の上で進めていく。

*他メンバーからの質問・コメント
・デザイン性が良ければいいというわけではなく、逆に素朴の方が行きやすいチラシ、と聞いてなるほどと思った。
僕たちはチラシを作った反応で、良し悪しを評価してしまうが、こういうチラシを出すとこういう人が来るという経験の蓄積をしながら作っていくことで、こういう層を呼びたい時はこういうものを出すという知識をつけられると知った。いろんなものを作ってみて、反応を見るのが大事ということを学んだ。今後の集客に役立つのではと思った。
・人を集めるのは「釣り」みたいなもので、相手によって、竿やテグスも違う。どういうものが受けるのか、地域によっても、地区によっても違うと思う。固定化してやるよりも、そこにいる人たちを見ながら作る。言葉も通じる言葉を使うのが良いと思った。

*講師からのコメント
広石:最初は、行政のやろうとしていることと、住民のやりたいことが違うんじゃないかというところからスタートしていたが、実は、すれ違いというのは根本的な意識の問題というより、伝え方や伝わり方にあるんじゃないかと思う。

新:実際にチラシを作ってみて、作り手と参加者側のギャップというか、伝えたいことと、受け取り方の違いを知るのにとても大事なことだと思った。今までそこは検証してきていないところ。
ワークショップやってあげるとか、聞いてあげるというのではなく、聞かさせていただく、という姿勢が必要で、それがチラシにも現れるのかなと思った。最初から解ったりしないので、やることでわかるというか、合流させて頂くスタンスなのかなと改めて思った。

船木:このチームはもともとは「無関心」というところが重要なポイントだった。来た人は関心があって、来ない人は無関心と分けて考えるのではなくて、何となく気になってはいるけども、参加には至らないという場合があることも大事。
みんな持っている辞書は違うので、辞書が違うことを前提としながら分かり合えたよね、という状態が作れることがすごく重要。こだわりすぎると言葉狩りのようになってしまいかねないので、この場では一応こういういう決め事にしていこうね、くらいのゆるい感じの整え方が必要かなと思った。

地域理解の概念を理解した上で投げかけるというのは重要であるが、チラシ一つでは全部を解決できない。誰向けに、何を、どんなメッセージを、どう伝えていくか、という情報を整理すること、同時に、コミュニケーション全体を考えた上で、このチラシの役割と意味は何かという発想も裏で考える必要がある。

チーム②「対話やワークショップへの参加に感じるハードルとは? ~「居酒屋以上ワークショップ未満」の間には何がある?」

*この期間に取り組んだこと
・ワークショップに昇華していく前の0次会的な場所をデザインできないかという話をしながら、主に雑談に価値があるんだよね、という話になり、実際に場を作ってみようとなっている。
・実際にスナックの分析をしてみようとなり、行ってみようとなったが、実は飲める人がいないことが発覚。行ける人がいなかった。

*気づいたこと、見えてきた課題
・その場を作るデザインの打ち合わせをしようとなっている。
・ワークショップというのは不文律が力を入れさせているのではという話になっている。ファシリテーターの見えない意図をみんなが汲んでしまって固くなってしまったり、アウトプットを突然求められる緊張感とか、2度目に会いにくい、コミュニティーの中で一発目で全力振りをすると2打席目から振るバットがなくなるなどの話があった。
・そこら辺をうまくデザインできないかと考えている。参加者の目線からあって欲しい0次会の場所、主催者が考える場作りのデザインの両方から合わせていってアレンジできたら良いということで、今日は持ち寄って話合うという予定だった。

*2月に向けて取り組もうと考えていること
・辰野にあるソーシャルバーで、2月23日に実際に場づくりをする。

*他メンバーからの質問・コメント
・お酒の力を借りてコミュニケーションをとる部分がある。元々は引っ込み思案だったのだが、仕事をするようになって、お酒の場でどんどん話をするようになった。
・ワークショップと居酒屋について分析していく中で、その間にあるものはスナック的なものなんじゃないかとなった。スナック的な場をどうデザインするかを探求するのは面白い取り組みだと思う。
・コミュニケーションのデザインとしてどう出していくか、再現性がありつつ、とはいえ型にせず、そのバランスはどこなんだろうというのは面白いんじゃないかと思った。
・「スナックのママってファシリテーターだったんだ」ということ。コーディーネーターでもある。人と人とを繋げていく。すごく大事な役割で、それを学ぶのにも良い場所だなと思った。

*講師からのコメント
広石:
最近、ソーシャルスナックや企業内カフェが流行っているそう。
ワークショップとは違うアプローチみたいなものにも今、需要が広がっているのかなと考えた。

新:
ワークショップというと、否定しないとか、みんな平等にとか、立場はならしてとやって、ある程度収束してまとめる。しかし、ママはひたすら発散型で話を聞いてあげる、傾聴している。
また、「ともにする」というのが共通している。食を介する、供食みたいなことは、居酒屋やスナックの特性なのかなと思う。ワークショップでお菓子を少し用意するだけでも少しはそういう要素が入ってきているのかなと思う。全体を見ながら、みんなの動きとか表情を見ているのは共通しているかなと思う。

ワークショップをアップデートすると考えていくのもいいかもしれない。スナックっぽいワークショップやってみたらどうなるんだろうというのは僕も興味がある。ワークショップが0次会で、その後に飲みにいくのが一番いいのかも。

船木:
場の力を信じるということがすごく大事で、ワークショップを設計してやると逆に設計図の中にしかアウトプットが作られないとなりがち。自分たちの想像を超えられるような、何か新しいものが生まれる、自分も想像できないものが出ちゃうみたいなことの場を作れるかどうかが大事なのではと思う。

広石:ワークショップってファシリテーターが何とか成功させたいみたいな気持ちがあるから、参加者がそれに付き合ってあげるみたいな風になると言うのがあって、テーマを決めて、ファシリテーターがいて、最後は皆さんにまとめを作りますよ、と成果物を作るとなると、成功させなきゃみたいなのがある。

ファシリテーターだと思うと、うまく場を進めなきゃとかいう気になってしまうが、人々が話し始めたり、動き始めたりするきっかけを作るんだよとか、人のモチベーションが上がって動き始めたらいいじゃん、というのをゴールにするとか。そういう視点が大切になる。

問いチーム③ 「ファシリテーターに必要な自己理解とは?」
※ 問いチーム④「ファシリテーターは「承認と共感」を関わる人にどう届けるか?」と合同でMTGを実施

*この期間に取り組んだこと
・実際の仕事で3年間関わっているプロジェクトが今年度もって終了する。今後どうしていくかをオンラインと現場のハイブリットで、ミーティングを12月5日に実施した。
・事前に11月中にこのグループ内でミーティングを行なって、プロジェクトの概要などを共有。当日はメンバーに参加してもらい、私のファシリテーターの様子を見てもらった。
・ファシリテーターの皆さんの悩みである、「誘導しすぎていないか」「ファシリテーターでありながら流されていないか」「軸をもっているか」「戻る軸はあるか」というのをポイントにしながら当日のミーティングを行った。
・このミーティング後に当日にグループの皆さんで振り返りを行い、その後、12月中と1月に振り返りをした。
1回目の振り返りでは、当日見学したメンバーから実際にファシリテーターをしたメンバーに「なぜあの場面でこの話をしたのか?」「どんなことを意識していたか?」など質問をしていった。
2回目は、ファシリテーターあるあるを出し合って、ファシリテーターが場づくりをするときに意識したいポイントを書き出して、「ふりかえりチェックシート」にまとめていった。

*気づいたこと、見えてきた課題
・振り返りチェックシートを作るのが目的ではなくて、①どういう関係性なのかということによっても違ってくる部分、そうすると、はじめましてなのか2回目以降なのか、打ち解けている人たちのミーティングなのかで立ち位置が変わってくる。②前提の状態を把握するということ。一旦自分はここまで行ったら引くということもあるし、事前の背景等ものを確認してから望むこと。③アイスブレイクの必要性。その人の状況の把握、その人の背景の確認の必要性。④全体の振り返りをすること、が大事だと分かった。

*2月に向けて取り組もうと考えていること
・みなさんの意見からアウトプットのベースはできてきたので、事前準備の前提を揃えること、今日あったことの振り返りなどの4段階で、自分たちなりにまとめられたらいいなと思う。

*他メンバーからの質問・コメント
・自分の中のネガティブポイントだったり、自己理解が足りない部分が、(他人に対しても)気になるということが浮かび上がってきた。
・自分が何にモヤモヤしたかをみんなで掘ることで、自分たちがファシリをするときの今後のヒントになるんじゃないか。それを言語化して共有するってやったことがないよねということで、最終的なゴールに持っていこうとなった。
・ムカムカ、モヤモヤしたものを自覚したのが大きな成果だと思っている。一番モヤモヤしたのは、相手に対するものだと思っていたが、深掘りしてみると自分の中にあるものだという気がしてきた。
だから、他人がネガティブな発言をした時に自分が反応していると感じた。

坂上:最終的なゴールというか、振り返りシート、ファシリテーターという立場でいると、なかなか自分のことを振り返りをする時間が持てなかったりするので、みんなが使えるような振り返りシート、こういうポイントで見る、みたいなのを作ってそれを皆さんと共有したい、そこに肉付けしたりできたら良いなと思う。それがこのチームのゴール。

*講師からのコメント
広石:

参加者はファシリテーターの役立つこと、いいことを言わなきゃいけない、いい子じゃないといけないと思わせているのではないかということも気をつけないといけない。

新:

どうしても作り手一辺倒になってしまって、受け手側の反応などを評価していないよなと思って聞いていた。
ファシリテーター自身が知りたい、一番その場でわかっていない、好奇心を持って知りたがりであり続けるというか、そういうことが相手の姿勢にも関わってくるんだろうなと思った。
常に鏡関係のような感じだと思うし、改めて運営しようとしている人たちのことでしか考えていなかったことが多かったと思うので、逆側の視点ももっと取り入れないといけないと思った。

船木:今日一貫して出ているのは、情報の作り手の気持ちだけじゃなくて、受け手がどう思うかということ。コミュニケーションの設計図を作っている時に発信者主義より受信者発想でということがうまくいったりする。

2. 講師からの全体総括

船木:ファシリテーターであるというよりも人間理解の話をしているのではと思った。人間理解をして、同じ空間、同じ場に偶然のように一緒にいる、住んでいる限りは逃げ出すことは難しい。その中でどうやっていくかという話で、だからファシリテーション技術というよりは、人間理解が本当に大事なことなんじゃないかと思った。

広石:おそらく皆さんが共通していることは、場とか情報の作り手とか参加者のギャップということであり、特にそれは、まちむら養成ファシリテーターの特徴であると思う。

ファシリテーターが地域とともに活動を行うというのが特徴的なんだと思う。地域の中で継続して関わるし、特定の人だけでなく、なるべく多様な人も関わってほしいとなると、地域の多様性も理解しなくてはいけないとなる。地域と共に活動するために何が大切なのかとなるのがまちむらの特徴だし、そこを皆さんがそれぞれのグループで深めていっているのかなと思った。

新:俯瞰してあえて批判的にいうならば、ワークショップの切り盛りの方が主になってきていることが気になる。

そこに行き着く前までに、どのような付き合い方を地域としているのか、その場がもしできたとしても、その後の付き合い方も含めてもうちょっと俯瞰的に見た地域全体のテーブルを考えて、ファシリテーションという意味も含めて、そのようなテーマを改めて考えていただけるといいのかなと。

船木:ここに集まっている人は地域に暮らして、寄り添うというよりも、そこで生きているという前提がある。

「寄り添うというのはどういう意味があるのか」「地域社会をよりよくするためにファシリテートするという概念を作るとは」というのは、ファシリテーター業界ではあまり出てこない話。

ここで語られているのはスキル的なことが議論になりがちだが、その前提となる地域社会との関係性の話は、その場に生きている人にしか分からないし、そのくらいの本気と覚悟がないとできない。
その中で、どういう風に立ち振る舞っていくかというのは、すごく意味のあることをやっている。

ただし、それは言語化していかないと人には伝わらない。対外的に知られることで、アイデンティティとか信州の誇りにも繋がっていくし、県がやっていることの意味がようやくそこで出てくる。

発信者主義だけではなく、受け取り手のことを意識しながら、自分もそのいちメンバーであることが前提ということだと思う。前提条件を確認しつつ、それぞれの問題意識を深めていく多様な視点でのアプローチができたらいいのでは?


まとめ

今回も各チームで深めた議論の共有を行い、改めて地域づくりを進めていくにあたって今回のそれぞれの「問い」の意味を言葉にする時間になりました。

ファシリテーターとして地域づくりに関わっていく中で、つい「これってどうしたらいいんだろう?」と思ってもその疑問に向き合う機会は少ない中ですが、これから地域づくりに関わる人たちのヒントとして残しておくためにも今回のプログラムの中でそれらのノウハウが見えてきたら良いなと思います。

次回のプログラムは2月18日です。

*今回のチームテーマでもある「探求したい問い」の背景や紹介は下記ページからご覧いただけます!