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【実践プログラム】対話と共創の実践に向けて問題意識を持ち寄り、探究テーマを設定しました

2023年10月14日(土)10:00~17:00@松本市メディアガーデンにて、まちむら”対話と共創”チャレンジ”2023実践プログラムのワークショップを実施しました。当日は、地域でのファシリテーターやコーディネーターとして活動している 14名、講師3名が参加しました。

《前半:お互いの活動、問題意識をシェアしよう》

実践プログラムでは、各地域でファシリテーターやコーディネーターに取り組んでいる方が、それぞれの現場での経験を持ち寄り、「未来志向の対話と共創」を地域で広げていくために必要なことを明確にしていくことを目指しています。

公開講座、地域づくりテーマ勉強会を踏まえて今回は、それぞれが現場で感じている課題を共有し、”これから一緒に探究していきたい問い”を明確にすることを目指します。
ただ、今回の参加者は地域や立場も活動テーマも異なっていますし、そもそもお互いのことをよく知らない人同士が本音で自分の課題を話し合うのは難しいもの。そこで、前半では、自分のことをしっかり話し、それを聴きあい、相互理解を深めることを大切にしたプログラムを行いました。

改めて実践プログラムの趣旨説明を行った上で全員の簡単な自己紹介を行った上で、相互インタビューを行いました。
インタビューでは、参加者同士で1人15分で、インタビュアー役から、自分の行っている活動、自分のイメージする地域の未来像やそこに向けた課題、これから必要だと考える場づくりなどを聴いていきました。
話し手にとっては15分かけて話すことで自己紹介だけではわからない活動への思いや目指していること、課題などを改めて言葉にすることで整理ができる時間になり、2人の聴き手にとっては相手のことをよく理解できる時間となりました。インタビューワークが終わることには、初めて会ったメンバーとは思えない親密さが生まれていたように感じました。

インタビュー後は「他己紹介」で、聞き手の人が話し手の人の「いいところ」と「場づくりの問題意識」を紹介しました。それぞれの問題意識が共有されました。

・場づくりの価値を理解してもらうのが難しい
・気の合う(理念を分かち合える)仲間と活動するところから、外側に広がりきれていない
・若い人の参加を促すのが難しい。理念や思いを持ってやっても若い人に届ききっていない
地域のポジティブな面と現状を変えたくない面の二面性があり、どう向き合えばいいか悩ましい
・費用対効果が求められる中、場づくりはすぐに成果が見えづらいと思われている
など、活動内容や地域は違えどお互いの課題感をうなずきながら聞いている方々の姿が印象的でした。このようにさまざまな地域で繰り返されている課題を乗り越えるためには、1人で抱え込むのではなく、いろんな経験値を持ち寄った方が一緒に悩み、話す場が必要だと実感しました。

《後半:共に探究したい問いを見つけよう》

後半は、まず個々人が「地域で寄り添う対話と持続可能な未来への共創を進めていく上で課題となること、経験やノウハウを共有したいこと、話し合いたいこと」を「問い​」として出すワークから始まりました。
講師の広石からは「”地域での関係づくりが難しい”と断定形で言ってしまうと、そこで考えも話も止まってしまう。しかし、”この地域での関係づくりを難しく感じるのは、なぜだろう?”と問いの形にすることで、そこから思考が始まり、コミュニケーションも生まれやすくなる」という解説がありました。参加者のみなさんは、日頃、問題意識を持っていることを「問い」として出すことに工夫していました。問いづくりは難しそうですが、ワンポイントとして「日頃、断定している文を、最後に~か?と疑問文に変えるだけでも「問い」になりますよ」という解説もありました。また、途中でグループでシェアし、他の人の問いをヒントに新しい問いを追加していきました。その結果、多い人は10個以上の問いが出されました。

それぞれのグループで出された問いを一つのテーブルに集めたところ、全体では100個以上の問いの付箋が集まりました。

集められた「問い」の似たものを近くに寄せていったところ、大きく3つの問いのグループが見えてきました。

グループ1:地域への無関心に関する問い
地域づくりの活動を進めると、関心ある人と関心がない人のギャップを感じることがあります。参加しても継続が難しかったり、特定の人ばかりが活動することになったりもします。地域づくりへの関心、無関心に関する問いです。
<集められた問いの例>
・なぜ地域の「コア」となる人はいなくなるのか ・なぜリーダーが育たないのか ・なぜ若い人は参加しないのか? ・村の集まりに参加者が減るのはなぜ? ・「時間がない」のはなぜか? ・主体的に向き合ってもらうにはどうしたらいいか? ・まちづくりのプレーヤーって誰なのか? ・近所付き合いに興味がないのか?・なぜ女性の参加が少ないのか? etc…

グループ2:そもそも(地域づくりの前提)に関する問い
地域づくりの前提となっている部分を改めて考えてみたいという問いが集まりました。「人口減少が問題になりがちだが、これからの時代、人口を増やすのが最大の目的なのか」「地域づくりでは危機感を訴えることが多いが、それで人は動くのか」など、地域づくりの考え方を検証する問いです。
<集められた問いの例>
・人口を増やすことが正解か?・なぜまちにビジョンが必要なのか?・危機感で人は動くのか?・そもそも何が課題なのか?・なぜ変化を拒んでしまうのか・なぜ企業はSDGsに関心をもつのか・多数決のものの決め方は民主主義なのか?・今地域は「よくない状態」なのか?・これからの山間の村はどうなっていくのだろうか?・人がたくさん集まることが成功なのか? etc…

グループ3:場づくりやファシリテーションの方法論に関する問い
場づくりやファシリテーションを行っていて感じること、難しいと思うことに関する問いです。手法や向き合い方など現場での実践を進める上での方法論を考えるための問いです。
<集められた問いの例>
・対話ってなんでこんなに疲れるようになった?・同じ考えを持つ人同士で集まってしまうのはなぜか?・ファシリテーションの技術は誰が持つべきか・話が止まらない人はなぜ人の話が聞けないのか?・自分自身が地域のことを知ろうとしているのか?・「理想のまち」が一つである必要はあるのか?・もやもやを言語化して大事ってシェアするには? etc…

問いのグループに関心のある人がテーブルに集い、一連の問いの奥にある構造的な課題を考えるために、集められた問いの間にある類似関係・因果関係・対立関係などの関係性を考えることを通して、核となる”探究したい問い”を探りました。

グループで話し合った後、各チームから考えたことを発表しました。


《無関心の問いグループ》

無関心についての問いを深掘りしていったら、「本当にみんな無関心なのか?」「無関心、というのは誰から見て無関心なのか?」という問いが生まれてきた。
興味のある人からすれば、そのテーマに興味のない人は無関心と見えているのではないか。そのテーマには無関心でも他の課題には関心を持っていたりもする。実際、まちづくりの会に参加していない人に個別に話を聴くと色々な声が出てくる。関心のある人が「無関心な人」を生んでいるのではという構造が見えてきた。

そう考えると、行政が住民に関心を持ってほしいと思っていることと、住民が実際に関心を持っていることは違うのかもしれない。
しかし、行政が住民を一人ひとりヒアリングすることは不可能だし、一人ひとりの思いのその総体がまちの目指すことになるわけでもない。
そうした時に、まちが目指すものと各住民の関心をどのように繋げたらいいのか?が難しいなと思った。

探求したい問いは、
・「一人ひとりの人生の目標・幸せ」と「まちの目標・幸せ」のギャップとは何か?
(最終的なテーマ:木も森も見るというのはどういうことなのか?
)


《そもそもの問いグループ》

目の前に起きていることに疑問を持ち始めると、それをなんとかしようとするからこそ自分の中でどんどんと深いところを問うことになっていくのだと考えた。
その深いところまで落ちた時に、難しいからそのまま諦めてしまう人と、前提まで疑うことで新しい視点や何かヒントを得てグーっ思考が U字に上がっていく人がいるが、その違いはなんだろう?という話になった。

ただ、このプロセスで目の前で起きていることに「問い」を持ち始めると、どんどん深めていき、U字に乗っていくこともできるのだが、日常でもやもやを感じていても「問い」として自覚するところまでいっていない人が多いのではない。もやもやを居酒屋で悩んだりぼやいたりしても、それをワークショップや話し合いの場で話せる人はあんまりいないんじゃないか。話し合いの場やワークショップに行く手前にひっかかるハードルがあって、それを超えるよりは「ま、仕方ない」となってしまう人は多い。

探求したい問いは、
・「居酒屋で話せてもワークショップには参加しない、居酒屋以上ワークショップ未満」の間には何があるのか?


《方法論の問いグループ》

対話やファシリテーションの方法論に注目すると、それは手段であることが見えてきた。では、何のための手段なのかと考えると、それは「つながり」を生むことだと考えた。そこで、人が1人でいるところから場に参加して、コミュニティになり、それが地域に広がって文化・習慣となるそこから発展していくステップで出された問いを整理した。

まず一番最初に、誰かとつながりたいと思った人がいたときに、その人自身が「自分はつながりたいんだ」と自己認識できれば、対話に参加する意味や動機も生まれるのではないか。
そして、対話の場に参加した時に、共感や承認があることで場への参加意欲や人との関係は動き始める。ファシリテーターには共感・承認を届ける役割があるが、そを行うにはファシリテーター自身が自分の気持ちを理解している必要もあるだろう。そうして場で1対1の関係性ができれば、そこから場、コミュニティ、地域の文化にも発展していけると考えた。

探求したい問いとしては、下記の3つ
① ファシリテーターに必要な自己理解とは?
② ファシリテーターは、「承認と共感」を関わる人にどう届けるか
③ 少人数で始まった対話を地域にどう広げるか?それが文化として地域に根付くには?

(最終的なテーマ:②③はセットで「ファシリテーターは、「承認と共感」を関わる人にどう届けるか」)

このように各組から出された探究したい問いを持ち寄り、整理していくことで、ここから2月までの間に探究する問いを整理したところ、下記の4つの問いとなりました。

① 「一人ひとりの人生の目標・幸せ」と「まちの目標・幸せ」のギャップとは何か?
② 「居酒屋以上ワークショップ未満」の間には何があるのか?
③ ファシリテーターに必要な自己理解とは?
④ ファシリテーターは、「承認と共感」を関わる人にどう届けるか
 ( これを地域にどう広げるか?それが文化として地域に根付くには?)

この4つの問いを基に、問いに関心ある人たちが集まり、来年の2月まで参加者それぞれの現場での経験を持ち寄り、考えを深めていくグループを立ち上げることになりました。

ここから2月まで探究を進めていきます。
下記で探究テーマとグループ活動を紹介していきます。もしこれらの「探究の問い」にご関心ある方がいらしゃれば、ぜひ一緒に取り組んでいければと考えています。



講師の新さん、船木さんからの総括コメント

■ 新 雄太さん


そもそも、こうやって問いについて各地の経験を持ち寄って共感・共有し、分かち合える環境がすごいことだなと感じました。
また、皆さんお一人お一人が目の前の人をしっかり見るという考え方をお持ちなんだなと思いつつ、「でも地域ってなんだっけ?」「目的ってなんだっけ?」といった意味を問うような俯瞰した目を同時に併せ持っている課題感をお持ちなんだなということを感じました。

木を見て、森も見てしまおう」という視野の捉え方は、まちむら寄り添いファシリテーターとして大事にしてきたところで、「目の前の人が幸せにならないんだったら、まちも全然幸せにならないよね」という考え方と、同時に全体性を見ていく考え方も大事にしないといけないと感じました。
つながりについて考えていたチーム(方法論)も、実は1人から地域に広がっていくことと逆の→もあるのではないかと思いましたし、そもそも論のチームについても、現状のもやもやから出てくる問い「なんでこうなってくれないのか?」ということだとしたら、逆説的には「こうなってほしい」ということの表れがあったり、現状に対する課題感の裏返しが理想を表していくということもあると思います。

そのような両方の視点で考えていくことが今日1日でできたんだなと思いました。
こういうことを共有できるということは改めて大事ですね。


■ 船木 成記 さん

今日初めましての人たちばっかりの場でしたが、すごく話しあいが進んで良い場だったと感じました。
こういう空気感を皆さんが地域に持ち帰っていただけたら、またいろんな可能性があるんだろうなと思います。
また、まちむらを5年、6年やってきた意味がここにあるのかなと思いました

「問い」っていうのは「問いを作ろう」と思って絞って作るのではなく、滲み出てきてしまうというのが問いなんだろうと思うんですが、今日はこうやって問題意識を深めていく場だったんだなと受け止めています。
「問いを作ろう!」ということではなく、話し合いの準備をしているという意味でこのような場がとても大事なんだろうと思いましたし、こういう準備の場を地域に持ち帰ってほしいです。
「問いのワークをしよう!」ではなく、問いが生まれる場の状態を作り出す。

まずは、「情報の非対称性」ということなんだと思っていて、行政や議員さんは数字もデータも持っているし、全体のことを見てるから情報をたくさん持ってるんだけど、市民の人は当然だけど自分の生活範囲のものしか見えていないっていう中で常に情報の非対称性は起きている。
でも、同じ地域に住んでいて、同じ地域で暮らしていて、一緒に未来を作っていこうねとした時には、その情報が非対称のまんま置いておくのではなく、合わせていくことが必要になりますよね。
情報を持ってる人が偉いわけでもなく、強いわけでもなくて、一緒に語ったり、話すメンバーと情報や問題感を一生懸命合わせていくということがファシリテーションの概念なんだろうと思います。
その上で何を考えていくのかということは別のステップになるかと思います。

あと、僕から見れば「居酒屋以上ワークショップ未満」の間には何があるのか?」「「一人ひとりの人生の目標・幸せ」と「まちの目標・幸せ」のギャップとは何か?」はおんなじ話だと思ってます。
関心がある人からみて、それがない人を「無関心」と呼んでしまうということは、僕らの頭の中で二項対立で考える頭があるのであって、「無関心」な人はいない、という皆さんの結論は事実なんだろうと思います。
そういう時に、自分側から見て違うものをノットマークをつけてみることで、安心するし、一見ロジカルに説明できるけど、人間って白黒ではなく、組み合わさって複雑な中にいる。そう思って物事を見てみると、「居酒屋以上ワークショップ未満」も「一人ひとりの人生と地域社会の間にあるギャップ」も見えてくるんじゃないかと思います。

僕自身はコミュニケーションやブランディングの仕事をしているけれど、「人は物語を生きる動物だ」というわけですね。
その物語の枠の縮尺を色々変えられるし、自分から住んでいる地域の1人、県の1人、国の1人というように僕たちはその縮尺を、一個ではなく複数個日常の中で使っているんだと思うわけですね。
それをみんなで共有しながら、自分達の所属しているコミュニティというものをどう捉えていくのか、「アイデンティティ」の話につながると思います。
それは個人のアイデンティティというよりも、家族や仲間やチームなどをどう私たちの中で縮尺を変えて捉えていくのかということを、自分だけじゃなく相手の人にもそんな複雑な物語がさまざまあるよ、ということを理解しあった上で一緒に考えていくということなんだろうと思いました。


《事務局より》

第2期以降コロナ禍の講座では全てオンライン講座となってしまいました。
オンラインだからこその良さもありつつ、やっぱり皆さんからも「会いたい!」というお声をいただいていたので、
今回リアルワークショップという形で開催できたことが良かったと思います。

また、今回のワークショップについて、他人事でみた地域の課題ではなく、現場の中で地域の現状を踏まえたプレーヤーとしての疑問や課題を皆さんで共有できた時間になっていました。
それは、このワークショップの意味でもありますし、このような対話をまちむら寄り添いファシリテーター同士でも、各ファシリテーターが地域の中でも活かせるようになると、本音で話しながら、お互いに学び合い、一緒に考えていく関係性が長野県に広がっていくんだろうなという希望が見えた回でもありました。

それぞれの課題は今すぐ明確な答えが見つかるようなものではないからこそ、実践講座の参加者の皆さんをはじめ長野県内でこんなことをもっと考えたい、解決にむけて何ができるのかを一緒に探求したいという方も今からジョインしていただけたらと思います。

次回は11/25(土)10:00~12:30での開催です。