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修了生ミーティングを開催しました!

2020年8月21日(金)20:00から、まちむら寄り添いファシリテーター第1期(平成30年度)、第2期(令和元年度)の修了生がオンラインで集合し、「新型コロナの状況下の地域の現状と課題」や「これからの地域づくりで取組みたいこと」について語り合いました。

<開催概要>

開催日 2020年8月21日(金)20:00~22:00
参加者
修了生:24名
講師・アドバイザー:3名
  新雄太(東京大学大学院工学系研究科特任助教​)
  船木成記(一般社団法人つながりのデザイン)
  広石拓司((株)エンパブリック)
事務局:長野県地域振興課、(株)エンパブリック

参加者の近況

はじめに近況報告を行ったところ、「人が集まる機会が減り、地域活動が減少している」「シニアの地域活動への参加が減り、フレイルの観点からも心配」「地域おこし協力隊の活動ができていない」などコロナ禍での地域の課題が多く挙げられました。一方で「自分の仕事の役割、意味を見直す機会になった」「仲間の助けももらいながら、何か社会に役立つことがしたい」といったご意見や、「オンラインの活用を勉強中」「シニアの方向けの講習を企画中」「オンラインとオフラインのバランスの取れた企画を仕込み中」など、オンラインの活用についても多くの方が可能性を感じていることが紹介されました。

しかし何よりも、一番多かったのが、それぞれ1年間「まちむら寄り添いファシリテーター講座」を受講した仲間と再会し、情報交換することで「今日は元気をもらいたい」という声でした。

 <当日の近況報告 及び 事前アンケートに寄せられた意見>

〇活動減少などで地域が動きづらい
・誰もが過度な不安を感じたり過度なリスクを見込むようになり、活動が委縮。
・地域振興イベント中止により地域の活気が失われる。活動者のモチベーションの低下。
・特に年配の方は他者とつながる機会を大幅に失っている。
・ただしリスクを避けたいという雰囲気が強く、行動する時期を待つ。
・顔の見える関係性が希薄化。人の関わりがあちこちで途切れている。住民自治の意識低下。
・会議ができないからといってオンラインでという流れにはならない(高齢者が多いため。)
・地域おこし協力隊員として活動がしにくい状況。
・町の人に集まっていただく機会が減り、地域おこし協力隊の活動状況を知ってもらえない。
・コミュニティ内のつながりや対話を、集会や対面によらず如何に維持していくかが問われる。
・本当に必要なもの以外は無くなり、本当に必要なものが生まれる。

〇自分の仕事の意味、役割を見直す
・台風、コロナ禍と、仕事での自分の役割を改めて考えさせられる。
・公民館という場の在り方、必要性について改めて考えなければならないと感じている。
・集いの新しい方法を模索しなければならない。
・市場や貨幣に頼りすぎない暮らし方、「持続可能な自然の恩恵」や「他者と共感・共有することの大切さ」を伝えていくことの重要性を改めて考えさせられた。
・事象に対応はしつつも目的達成のための行動を続ける。
・一人で考えるのではなく、仲間で、チームで、新しいやり方を見つけていく作業。
・自分の天命とは何かを考え、秋くらいのオンラインイベントを企画中。

〇地域への大きな影響を好機にできないか?
・戸惑うことも多いが、だからこそ今までの活動を見直したり新しいことにチャレンジする好機
・地域への経済ダメージは大きいが、地域の繋がりに対する安心感や重要性を改めて感じた。
・自分の活動も思うようにいかない状況だが、地域に貢献ができるチャンスでもある。
・今までどんなことがあっても変わり得なかったこと、価値観を、今一度見つめ直すチャンス。

〇オンラインの活用
・取り組みをつなげるためのオンラインの可能性が期待されている。
・新しい生活様式に合わせたつながりづくりの創意工夫が必要。
・オンラインツールを使って、地域の垣根がなくなったのは大きなメリット
・シニア世代こそ、オンラインを暮らしに取り入れることができれば、解消される課題もある。
・オンライン会議は地域性や世代間を超えて話せることを、シニアも再発見。
・アフターコロナに備えてオンラインとオフラインのバランスが取れた企画を模索中。
・情報弱者の多さによる弊害を感じている。

講師陣から

〇新雄太(東京大学大学院工学系研究科特任助教​)さん
今だからこそできることをいろいろ考えている。
そして近所が面白い。徒歩圏内、自転車圏内の見直しができると面白いと考えている。

〇船木成記(一般社団法人つながりのデザイン)さん
場があってこうして集まれることが大事だと改めて感じた。コロナ禍の前に戻ろうというエネルギーが強いと、オンラインは仕方なくやっている、というスタンスになるが、それはもったいない。今あるものを使ってよりよくやるというマインドセットが大事。

〇広石拓司((株)エンパブリック)
この状況は、誰も慣れておらず、答えはない。正解探しではなく、お互いを受け入れあう。
お互いに考えを言葉にして話している中で、自分の感情を客観視して整理でき、自分で自分の状況や不安が整理できる。だからこそ、地域で、お互いのことを聞き合うことが重要。地域で寄り添いファシリの活動が広がるとよいと思う。

その後は2回の、たっぷりとしたグループセッション(語り合い)

オンラインミーティングZoomの「ブレイクアウトセッション」という機能を使い、2回のグループセッションを行いました。1回目はまちむら寄り添いファシリの講座受講時の地域ごとに、旧交を温めつつ、改めて「新型コロナの状況下の地域の現状と課題」を共有。2度目のセッションでは、グループを変えて「これからの地域づくりで取組みたいこと」を話し合いました。

全員がオンラインを使いこなせなくても、地域で助け合えば誰も取り残さない!

佐久穂町の地域おこし協力隊員、副島優輔さんとともに参加した、2期生の小林さんは「我々の年代はこれ(オンライン)ができないが、これから学習して、頻繁に参加したい」と意気込みを語って下さいました。そして副島さんは力強く一言「サポートします!」。広石講師からは、小林さんと副島さんのように、「地域で一緒に見よう」という声をかけあえば、全員がオンラインを使いこなせなくても誰も取り残さない環境ができる!というアドバイスがありました。

グループセッションに参加した講師から

〇船木成記(一般社団法人つながりのデザイン)さん
2回目のセッションでは地域おこし協力隊員が偶然集まり、先がちょっと見えない方に対して、協力隊卒業者や地域で事業をしている”先輩”のアドバイスを受け、この場がつながりや関りのよい機会を持てたと感じた。

〇新雄太(東京大学大学院工学系研究科特任助教​)さん
長寿社会開発センターの方々に、シニアのオンラインに対する関心の熱さと、それをモノにしてらっしゃることがすごいなと、可能性を感じました。今は(オンラインツールを)知って試している状況なので、これを自分達で使っていくときにどう使うか、会えるようになったときに、オンラインとオンサイトをどう併用するかも考えていきたい

対話することの大切さを改めて。オンラインもツールとして使える!

 このように、この日のミーティングでは、地域でのつながり創出を目指して活動する「まちむら寄り添いファシリテーター」の皆さんにとって、昨年の台風、今年のコロナ禍と、地域のつながりが分断されるといった打撃も多かったことが改めて明らかになりました。しかし、各地域共通の”正解のない問い”を抱える今、仲間と集まって話すことの大切さに改めて気づく場ともなり、同時に「オンラインだからこそこんなにたくさん集まることができた!」「なぜもっと早くやらなかったのか」など、オンラインの可能性を大いに実感する場ともなりました。シニアも十分使っていける、そのための取組みを熱く展開中の修了生の皆さんからの報告もあり、また全員が使いこなせなくても、地域で一緒に活用することで、誰一人取り残さない環境を作ることもできるのではという広石講師からのアドバイスもありました。

 R2年度「まちむら寄り添いファシリテーター講座」は、地域のつながりの課題を、オンラインミーティングという道具を使うことで、参加者同士がつながりあいながら、それぞれの地域に寄り添うファシリテーターとして必要なことを学びあう講座です。ご参加をお待ちしています!
 詳細こちら http://nagano-machimura.net/

参考:事後の参加者アンケートから

〇修了生ミーティングに参加して気づいたこと、学んだこと
・対話が大切、人は誘ってもらうことで前向きにやってみようという気持ちになるという話があった。実践していきたい。
・コロナ禍により、プラスに転じることも多いということ。
・この状況下でなくても大人数で集まるのは大変だし、実際今まで集まれていなかったが、参加してみてなぜ今まで誰もやらなかったのか、というくらい気楽に参加できるのを実感。この状況下でなければ直接会うことにこだわり続けていたかもしれません。皆さんの顔を見れて、新しいつながりもできて、また事務局や講師陣の皆さんと繋がれて嬉しかったです。

〇今後、地域でファシリテーターや場づくりに関して、どのような活動をしていきたいか
・人と人を繋げる活動
・農業振興にかかわり、若い人たちと農場を立ち上げたい。
・ものすごい速さで変わっていく社会、技術、価値などに対して、最適な手段を選びフレキシブルに対応していきたい。
・地域のコミュニケーションツールのバリアフリー化
・アナログツールと新ツールを融合させながら多世代、バリアフリー交流を図りたい!
・言葉だけではなく、小さくてもいいので、実際に行動すること
・講座を通じて「対話」の大切さ、フィールドワークの必要性を強く感じました。
・市民活動活性化、地区コミュニティーの機能強化に役立てたい。会議の形式では参加者の本音を聞き出すことが難しいことを感じています。
・コワーキングスペースの運営、プレイヤー兼媒介者。その場に集まる人が満遍なく発言できるような雰囲気、仕掛けが出来ればと思う。
・新型コロナで、活動や移動が制限されたことで、地域がより近くなったと感じ、自分が住む地域について考える人も増えたのではないか。実際に地域で、人々がどう過ごしていたのか、どう考えていたのか、これからの地域はどうあるべきだと思ったのかの聴き取りをやってみたい。また、外部から来る人が減って、地域に外からの刺激が必要であったと認識することもあったのではないか。単に観光や移住ではない、違った形で外からの人と関わることについても試行し、地域で共有できる場をつくれる活動をしていきたい。

〇その他
・今後ともこの繋がりが続いていけるよう願っております。
・終わっても繋がり続けられる講座なんて初めてですし参加でき本当に幸せです!還元できる場所にどんどん関わっていきたい。
・本事業の良いと思う点。あらかじめ運営側のゴールが設定されていない点。ゴールは問題ごと違うし、アプローチも違う。失敗しても失敗それ自体が成功である(次へのステップ)という考え方で行えるのが良いところ。
・はじめに想像もしていないような展開やつながりが作れた。
・各地の成功事例、失敗事例を閲覧できると良い
・「限界集落」が懸念される地域をはじめ、多くの地域、様々な立場の方に、ファシリテーションの重要性について知ってもらう機会になればと切に思う。