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【開催レポート】ふりかえり会「寄り添うファシリテーターの広がり」を開催しました。


2026年1月25(日)に、県立長野図書館 信州学び創造ラボで公開講座「寄り添うファシリテーションの広がり」が開催され、悪天候にも関わらず会場に10名、オンラインで16名の方にご参加いただきました。10月の実践プログラム(ギャザリング)を受講されたみなさんから講座で得た「学びと気づき」、「受講生同士の交流」、「自身の活動に起きた変化や取り組んだ工夫」について共有していただき、「寄り添う」とは「寄り添いファシリテーター」とはについて参加者のみなさんと対話しました。

1.寄り添う対話の場のデザインを通して考えたこと

プログラムの前半は、今年度のプログラム参加者が実践活動から得たものについてシェアしました。

「寄り添う」とは相手を深く理解し、共に歩む姿勢!

今回のプログラムへの参加を通して、地域に求められるファシリテーターには「相手を深く理解し、共に歩む」ことが大切であることに気付いたという声が多くありました。

その一つが、自分の意見や「こうあるべき」という思い込みを一旦脇に置き、相手の言葉に耳を傾ける「聞き書き」の大切さへの気づきです。自身が聞き書きワークを体験し、短い時間で相手を深く理解できたこと、自分自身のやりたいことや進むべき方向性が明確になるという実感を得たという報告がありました。相手の時代背景や暮らしぶりを想像し、違いを受け入れることで、小さな声の裏にある本当の思いをすくい上げることができることは参加者の活動のヒントになっています。

また、自分が段取りを決めて人を動かそうとするのではなく、相手のペースに合わせ、相手の「やりたい」という思いを起点に一緒に進むことの大切さに気づいています。相手の事情を丁寧に聞きながら、適切な人、適切な場所につなぐという行動に活かしたり、教育の現場で生徒への声がけを丁寧に進めることで生徒とよい対話ができ、生徒から本質的な回答が得られたという方もいました。

さらに、公開講座やギャザリングの事例研究会で共有された実践事例から視野が広がったという声もありました。福祉活動をしてきた方が、まつもとフィルムコモンズの取り組みを知り、自身も地域の演劇に参加し、地域への新しい視点を得たという報告もありました。

正解づくりや効率に追われるのではなく、目の前の人との関係性をじっくり築くことが「寄り添う」力となることに改めて気付かされました。

実践者同士のネットワーク(仲間の存在)の大切さ

今期のプログラムを通して、孤立しがちな活動において、悩みを共有し、ノウハウを直接相談できる仲間と出会え、つながったことが、実践に向けた勇気や新たな企画への大きな原動力となっていると多くの方が口にしていました。例えば、次のような連携が生まれています。

  • 地域包括支援センターに務めている方が、講座でつながった別地域の社協の方に電話をかけて相談しことで、経験者からコツやポイントを教えてもらうことで頭の中が整理され、新しい企画を進める手がかりを得ることができました。
  • 公開講座で知った不登校の家族の会の活動に感銘を受け、相談に訪れた保護者にその活動のパンフレットを渡しています。
  • 出会ったメンバー3人で「東信支部」というグループラインを自主的に作成し、日常的な情報交換を始めています。高齢者の健康づくりについて、ワークショップのアイデアを出したり、開催されている場に参加して話を聞いたりといった現場での連携にもつながっています。
  • 参加した町村議員の2人が町村議員のネットワーク「つながる議員の会」で、議員特有の悩みをざっくばらんに話し合えるワールドカフェ形式の交流イベントを実施するなど、連携を進めています。
  • 参加者が事例研究会のスピーカーであった「上田リバース会議」の藤川さんの映画会やパブリックコメントを集める活動に実際に参加しました 。環境問題を自分ごととして捉える場作りを直接体験し、1人1人の声を大切にする実践を学んでいます。
  • 他地区で実施されたアンケート活動を参考に、自身の地元で住民向けアンケートを作成したり、オンラインを活用した交流手法を活動の運営に応用するなど、自身の活動のヒントになっているという報告がありました。

2.「寄り添うファシリテーター」とは?

受講生のふりかえりも踏まえて、ナビゲーターから、現在の自身の活動の中で改めて考え得る「地域に寄り添うファシリテーター」の意味について紹介しました。

広石さんは各地で地域づくりの仕事をする中で、表面的な課題解決や決められた結論へ誘導する管理型の進行ではなく、住民の暮らしの文脈や背景を理解し、参加者のやりとりの中から意味が生まれる「生成型の対話」を重視しています 。反対意見や参加しない人の背景を想像する「エンパシー(共感)」の姿勢が、分断を超えるために重要だと考えています 。

新さんは小布施での大学・企業・地域の連携による研究活動を通して、外部の人材が地域のファンとなる関係人口だけでなく、地域づくりに参画して共に担い手となる「共創人口」に注目しています。その中で、まちむら寄り添いファシリテーターは、話し合いの中から関係性や解決策を生み出す「対話的合理性(ユルゲン・ハーバーマス)」を体現しているのではないかと考えています 。また、最近、陸前高田の視察の中で、災害などの有事の際には地域の人の顔(どんな人か、何が得意か)を知っていて、関係性があったので協力して対応できたことを学び、日頃のお祭りや日常的な交流で培われた関係性がセーフティネットになると実感したと話しています。

船木さんは、根羽村や東京の世田谷区などで行政と関わりながら地域づくりをサポートしています 。「雑談」というと、会議や対話より意味が弱いと思われがちですが、「雑」には多様なものが混ざり合うという意味があり、十分な「雑談」があることが相互理解や新しい未来を作るベースになると考えています。そして、対話では、ディベートのように自分の考えを押し通して相手を打ち負かすのではなく、話す前と話した後で自分の意見が変わる、変わることもあり得るという前提に立って話すことが大切だと話しています。

3.「まちむら寄り添いファシリテーター」を広げるためには

最後に参加者全体でふりかえりました。参加者からは「対話の大切さを改めて感じた」「日常の雑談が大切だと思った」「ゴールを目指すというよりも、まずは相手の話を聞くことが大切だと思った」「ファシリテーターなのかアドバイザーなのか自分の役割を使い分けることが必要だと感じた」「自分のやってきたことの確認ができた」という感想がありました。

また、アンケートで「まちむら寄り添いファシリテーターを広げるにはどうしたらいいか」という質問をしたところ、「今後も「寄り添うファシリテーション」の理解者賛同者を増やし続けて、草の根で対話し続けること」、「すでにある取り組みの再確認と連携の協働をする」、「こういう場に沢山の方が参加して頂くこと」「ファシリテーションのセミナーを各地で開催され卒業生が各地域の講師として行ったら良いのでは」というアイデアがありました。

4.まちむら寄り添いファシリテーターの可能性

新さんから、このプログラムは8年間行ってきたが、話していることは変わっていない。それはマンネリではなく、それだけ普遍的なテーマを扱っていると改めて考えたというメッセージがありました。

参加者からは、「日頃の生活のあらゆる場面で対話や寄り添いの姿勢を活かし、相手の立場や気持ちを考えてまちの声を聴くことを大切にしたい」「つないだ先まで見届け、継続するために自分以外の働き手と協力していきたい」「聞き書きの基本を忘れないことや、話しやすい雰囲気の中で少しのエッセンスを加えて共感者を増やす工夫をしていきたい」また、「管理型と寄り添い型を使い分けたり、雑多な中から生まれるものを喜ぶ謙虚さを持ちつつ、実行ベースでは果断に動くといったバランス感覚を大切にしたい」など多くの気づきの声をいただきました!。

自身の思いや企画を押し付けるのではなく、住民自身の「やりたい」という自主性に合わせて一緒に進めていくプロセスを大切にすること、埋もれがちな「小さな声」にも耳を傾けること、意見が対立した際にも安心して話し合える場づくりを心掛けることなどの大切さは、現代では従来以上に大切になってきています。
同時に、そのような関係づくりを実践する人が長野県には多くいて、その活動者が集まり交流することにより、活動者同士がさらにつながることで、それぞれの活動が磨かれたり、新しい展開が生まれることも大切な気づきとなりました。

今後も、まちむら寄り添いファシリテ―ターの交流によるポジティブな循環が広がることに期待が高まる会になったと思います。

今年度もご参加、ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました!