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フィールドスタディ@駒ケ根 実施まとめ(令和6年度)


まちむら寄り添いファシリテーター ・フィールドスタディ@駒ヶ根

子どもと大人の良い関係を作るファシリテーションを子どもを真ん中に大人が集う活動から学ぼう

令和6年度のまちむら寄り添いファシリテーター養成講座では「フィールドスタディ2024」と題し、身近な人々の声に耳を傾けながら、未来につながるアクションを守り立てるまちむら寄り添いファシリテーターの魅力と可能性についてモデル地域(上田・木曽・佐久穂・駒ヶ根)に入って学び、その知恵を持ち帰ることを目指す、実践型フィールドスタディを開催しました。

駒ヶ根地区では、フィールド・コーディネーターの北澤孝代さん(学び・育ちの会まねきneko代表)と共に、4名のメンバーが学びを深めました。

子どもを支援する活動や多世代交流の場づくりに取り組む人が増えています。しかし、参加者や運営協力者を集めるのに苦労している活動も多くあります。そのような活動をしていると、つい「子どものために」「高齢者のために」と力が入って、「しなきゃいけない」気持ちに自分自身が追われてしまいがちです。しかし大切なのは「支援するー支援される」ではなく、子どもも、高齢者も、関わる大人もそれぞれが場を楽しめていることではないでしょうか。そのような一人ひとりが活き活きでき、良い関係ができる場をファシリテーションするとはどういうことなのか、現場を体験しながら考えます。

親と子学び・育ちの会
まねきneko

「親と子学び・育ちの会 まねきneko」は、もともと特性をもつ子どもたちとその親が安心して過ごせるための場づくりからスタートした活動団体ですが、いまでは障がいの有無に関係なく子どもたちの遊び場やお母さんたちの気晴らしの場など、多世代に向けた様々な交流の場づくりを行なっています。
さらに、最近では地域の学生のチャレンジの応援や、活動立ち上げのサポートなど、さらに活動の幅を多様にしています。

活動当初は、活動に対する熱意やリーダーとしての責任感から、一人で抱え込んでしまうこともあったという北澤さんですが、感染症拡大を受けて活動の意味を改めて考えました。
そして、子どもたちがイキイキと過ごすためには、自分自身も何かにチャレンジをしていたり、それを周りの人に応援してもらった経験をしていること大人がたくさんいることが大切であると気づきました。

さらに、地域におけるファシリテーターの役割として、チャレンジしたい人を自分自身が支援することだけではなく、サポートを通して地域の大人や子どもの良い関係づくりをすることが、これからの地域の中で子どもにとって安心できる場所を作り続けることにも繋がると考えて、活動をおこなっています。

北澤さんが活動を通してなぜそのようなファシリテーションが大切だと気づいたのか、実際に関わるチームメンバーや場に参加している人はどのような思いで関わっているのか、そして大人と子どもの良い関係を作るファシリテーションのポイントはなにか。
子どもを対象にした活動をしている方だけでなく、住民の思いを形にするサポートを行っている方にとっても、地域の中でよい場や良い関係が続いていくためのファシリテーションのヒントを得られることでしょう。

フィールドスタディ説明会@駒ヶ根(8/25)より
フィールドコーディネーターの北澤孝代さんによるフィールド・活動の紹介

【参考】

親と子 学び・育ちの会 まねきneko


フィールドコーディネーター(FC)
北澤孝代さん

子どもを真ん中にして大人が集うような場づくりを考えてきました。
自分のファシリテーションのポイントを次の世代に引き継げるような形になったらうれしいです。

プロフィールの詳細はこちらから

ラーニングファシリテーター(LF)
渡邉さや

ファシリテーター養成講座に参加いただいた時から、北澤さんの熱量と面倒見の良さがいい距離で地域の方々と結びついたらいいなと考えていました。
実際の現場で、地域の人たちからみてそのファシリテーションがどう見えているのか、深く聞いてみたいと思います。
プロフィールの詳細はこちらから

駒ヶ根でのフィールドスタディでは、まねきnekoの実際の活動への参加や見学、参加者の子供達や運営に関わる大人たちへのインタビュー等を行いました。

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1)まねきnekoの活動・北澤さんの背景を知ろう(9月下旬)

まねきnekoが普段活動を行っている「アルパ駒ヶ根」で、北澤さんと一緒に活動を立ち上げた方から活動が生まれた経緯、活動に参加している高校生から参加の思い、北澤さんから活動を行う中でかんがえていることなどをインタビューしました。

実施内容:
・駒ヶ根市内のフィールドワーク
・まねきnekoの運営メンバー・参加者の高校生のみなさんとの顔わせ&インタビュー
<インタビューした方>
・I ・Kさん(高校生)
・N・Kさん(高校生)
・U・Kさん(高校生)
・K・Iさん(レストラン経営)
・Mさん(まねきneko運営メンバー)

2)北澤さんへのインタビュー及び「ぱとな祭り」見学(10月)

まねきnekoの代表でもある北澤さんとそのご家族への個別インタビューやまねきnekoの高校生がブース企画を出展する「ぱとな祭り」の見学・インタビューを行いました。
<インタビューした方>
・北澤孝代さん
・北澤さんの夫Sさん
・北澤さんの息子Kさん
・高校生2名
・Mさん(まねきneko運営メンバー)

3)11月企画「映画を見る会」の参加、参加者インタビュー(11月)

まねきnekoでは、11月に映画を見る会実施しました。その企画会議にオンラインで参加し、様々な思いを持ったメンバーの声をどのように聞き、1つの企画をファシリテーションしているのか見学しました。
また、映画を見る会への参加者・運営者へインタビューも行い、まねきnekoの活動に参加しているメンバーの皆さんから参加の思いや、北澤さんとの関わり方、生まれた変化について話を聞きました。

実施内容:
・映画上映会の打ち合わせ見学
・映画上映会への参加・運営者/参加者へのインタビュー
<インタビューした方>
・運営メンバー数名
・高校生1名

)「学びのお返し会」の実施(12月)

これまで実施したインタビューも含めて、外部の目でファシリテーションのポイントを分析し、インタビューさせていただいたみなさんに学びをお返しする中間報告会を実施しました。
特に今回のインタビューで個別に話を聞く機会あった方々をお招きして、チームからの発表に加えて質疑応答、皆さんとの意見交換も行い、みなさんからは下記のようなコメントもいただきました。

・それぞれ仕事や家庭がある中で続いている活動なので、「誰かが崩れてもなんとかなる」はすごく大切にしている(北澤さん)
・自分がまねきnekoで活動するときは、相手の気持ちになって声掛けすることを意識している(Kさん)
・自分が子どものころからやってきて楽しかったことを他の人にもやってもらいたい(高校生Nさん)
・ぱとな祭りでの鉄道模型コーナーのチャレンジが自分にとって大きかった。もっと小さい子にも楽しんでもらえるにはどうしたらいいか、これからも考えたい(高校生Iさん)

北澤さんの活動は、フードパントリーや子ども食堂、映画鑑賞会などを行っており、メンバーが「やりたい」と思ったことを互いに支え合いながら実現していることが特徴的でした。

このフィールドスタディで特に印象的だったのは、目的を達成することよりも、そのプロセスを大切にする姿勢でした。
関わりたいときに関わることができる関係性が、場や活動への安心感をもたらし、それがさらに多様な関わり方を生み出していることも分かりました。

また、活動やコミュニティなどの形を維持することではなく、今の活動がなくなったとしても誰かに思いが受け継がれていくことが本質であるということに気づき、コミュニティのあり方を捉え直す機会になりました。

最終報告会(2025年3月1日開催)での駒ヶ根チーム発表動画

■フィールドコーディネーター(FC) 北澤孝代さんからのコメント
今回、いろんなイベントに参加してもらって、それぞれ知りたいことや聞きたいことを自由にインタビューしてもらう形で進めました。皆さん、最初から自分の課題が明確だったので、学びの場として「みんなの居場所・ゆいちゃんち」を体験してもらうことになりました。
イベントの中で、皆さん自然と活動の輪に入っていって、自分の力で関わりを広げていったのが印象的でした。
私が特にコーディネートすることもなく、「今日はこの人が来ますよ」くらいの紹介だけで、皆さんが自分からどんどんコミュニケーションを取ってくれました。それが皆さんの力の強さだと感じています。

最後の方で「残されたモヤモヤ」というテーマがついたのですが、最初は「まねきnekoを再現するにはどうするか?」みたいな話が出ていました。しかし、「本当にそれがやりたいのか?」って考えたときに、私自身もモヤモヤを感じ方向転換をしました。大事なのは「何をやるか」じゃなくて「なぜやるのか」。そこをちゃんと問い続けることが、地域づくりのポイントになるのではないかと思います。

■ラーニングファシリテーター(LF) 渡邉さや(株式会社エンパブリック)からのコメント
一般的に、コミュニティを運営する側の人たちは、肩の力が入りすぎてるのではないかというのが一つの気づきでした。
「どうにか続けなきゃ」とか、「若い人を入れなきゃ」と考えがちですが、別に無理に若い人を入れなくてもいいし、コミュニティや活動の形が変化するあるいは終わっていく形もあってもいいんじゃないか、と、フィールドワークを通して感じました。
大切な思いは、誰かが引き継いでいくものであり、“いい力の抜き方”を覚えないと、やってる側も苦しいし、関わる人も苦しくなって、結果的に地域全体が苦しくなるのではないか。自戒も込めてですが、今回のフィールドワークを通じてそんなことに気づかせてもらえたなと思います。


フィールド・コーディネーター(FC)
北澤孝代 学び・育ちの会まねきneko代表 

「子どもを真ん中に」駒ケ根市子育てサークルや駒ヶ根文化サークル協会に加盟し、特性のある子どもを持つお母さんたちの気楽に集まれる「居場所」と誰でも参加でき共に成長する「学びの場づくり」の活動をしています。

北澤孝代さんの活動紹介(信州まちむらラジオにて公開中)

ラーニング・コーディネーター(LC)
渡邉さや 株式会社エンパブリック

ソーシャル・プロジェクト・ファシリテーターとして、関わる人の声を聞き、地域の現状に寄り添い、住民参加で課題解決を進めるための場づくり・伴走支援を担当。
令和6年能登半島地震の災害支援の経験を経て、さらに地域に「ファシリテーター」を広げるために奔走中。